コラム

IDPOSデータ活用入門第21回

コラム

「リピート率の有効活用②」

 前回に引き続き、「リピート率」の活用法を説明していきます。前回、カテゴリー毎にリピート率を継続してトラッキングする基準を作ること、またリピート率が高いアイテムの注意点を述べました。今回は現時点でリピート率が低い、或いは低下したアイテムについて説明します。
 売上がAランク(累計構成比で70%までの売れ筋商品)の中でも上位品、なのにリピート率が低い商品は、大容量品などで消耗頻度が相対的に低い場合を除くと、特売の時だけ購入されている可能性が考えられます。一定の売価以下にならないとリピート購入されないというものです。消耗頻度が高く価格に敏感な商品のリピートが低い場合、ハイローではなく、買い易い価格で常に提供するEDLP化によってリピート率と買上率を高めた、という事例もあります。
 また、Aランクのお店の重点品、推奨品のリピート率が低い場合は要注意です。お客様がリピートされない品を、お店側が売りたい商品としてお勧めしていることになり、押し売りに近い状態になっていないかを確認する必要があります。この場合、自信をもってお勧めしている重点品、推奨品を何故リピート頂けないのか、原因を探って対策を取る必要があります。
 リピートしない理由は以前のコラムでも取り上げた、「飽きる」「忘れる」「卒業する」に集約できますが、カテゴリーによっては他の要因も考えられます。例えばドラッグストアで高価格の医薬品、健康食品を購入した場合、思ったほどの効果を感じられないというケースがあります。接客を受ければ、お薬の効果的な服用法や、効果を実感するまでに必要な期間、また効果が出る前に体に起きる変化等の説明を聞いて納得して続けることができますが、十分な情報がないままセルフで2週間分など小容量のお試し品を購入しても2週間では効果を実感しにくく、自分には合わないと考えて継続しないといったことが考えられます。そこで効果的な服用法(食事の前に飲む、寝る前に飲むことがお勧め)、効果が表れるのに必要な期間(2ヶ月続けて下さい)、効果が出る前に起きる変化(体重が落ちる前に、汗をかいて代謝が良くなる、お通じが良くなる等)をPOPで掲示したり、MAツールがあればそれを用いて飲み切る少し前に継続することの大切さをお知らせしてお客様を励ましながらリピートにつなげていきます。POPの内容を変えることでリピート率が劇的に変わる事例は多々あります。WebサイトでA/Bテストを行って導線の最適化を行うのと同様に店頭のPOPもA/Bテストを行い、新規の獲得やリピート率がどれだけ変わるかを検証するのです。
 また、Aランクの重点販売品のリピート率が下がった場合、いつから、どの性年代、商圏のお客様で下がったのか、を分析します。また顧客はどこへ行ったのか?、新商品や競合ブランドへ流出したのか、そもそもそのカテゴリーを買わなくなったのか、を見極めていきます。重点品のリピート率低下がカテゴリーの実績を左右することがありますので注意して対応します。
 売上がCランクでリピート率が低いアイテムは用途機能を確認したうえでカット(棚落ち)候補になります。一般的に取り扱いアイテム数が多すぎる場合、売れ筋商品のフェースが十分に取れず、良く売れてリピートされるものから欠品してしまうリスクがあります。このためCランクでリピート率が低いものをカットし、空いたスペースを売れ筋のフェース拡大に使っていくことになります。
 小売業の取引先で自社アイテムがCランクにあり、リピート率が下位の場合、カットになってしまう可能性がありますから、その前にリピート頂く工夫を取る必要があります。リピート率はあくまでも現時点での過去の数値であり施策によって変えていくことができるのです。例えば、扱い店舗のうちで特定店舗でだけはリピート率が高い場合、お店でどのような工夫をしているのかを確認し、有効だと判断されればそれを全扱い店に広げていきます。先に述べたように「健康のためには続けることが大切です」というPOPによってリピート率を改善した事例もありますので諦めずに対応していきます。
 前回述べたように、リピート率が高いカテゴリー、ブランド、アイテムはお客様を再び売場に連れてきてくれる力があることを意味していますので、欠品させず、探し易く、買い易い売場作りと効果的な販促を心がけていきます。
 次回は季節商材の分析法を取り上げます。