コラム

IDPOSデータ活用入門第22回

コラム

「ID-POSを用いた季節商材(シーズン品)の分析視点①」

 今回から3回にわたり、季節商材(シーズン品)の分析について考え方をご説明致します。季節商材と聞いて、どのようなカテゴリー・商品を思い浮かべるでしょうか?ドラッグストアでは春夏は日焼け止め、制汗防臭剤、殺虫剤、熱中症対策、かゆみどめ、秋冬では風邪薬、ハンドクリーム、カイロ、12月には大掃除、2月には鼻炎薬…等(スーパーマーケットであれば、冷やし中華や鍋物など)、思い浮かぶかと思います。皆さんはこれらのカテゴリーの商品を1シーズンに何回購入されているでしょうか?
 下記、データをご覧下さい。

図1:主な季節商材の平均購入頻度

 いずれのカテゴリーもシーズン中の平均購入頻度は2回以下となっています。この事から、もし1回目を他業態も含めた競合店で購入されてしまったら、その季節品をわが店で購入頂ける可能性は残り僅か、あまり期待できないことが分ります。図1に示す「1回のみ人数比率」とは、シーズンに1回しか該当カテゴリーを購入していない人を示していますが、6割~7割強の人は、各々の季節品をシーズンに1回しか購入していないのです。
 この事実を踏まえ、季節商材の取り組みには4つのポイントが挙げられます。
  ① トライアルの立ち上がり・最初の山を逃さない
  ② 買いに来ていただいたときに関連品も含め、まとめて買って頂く
  ③ 前年(前々年)に購入頂いた方にお伝え(リマインド)
  ④ 付加価値の高いものをお勧め

図2:季節商材の分析のポイント

 次回は季節商材の分析法を取り上げます。4つのポイントの1つ目、「①トライアルの立ち上がり・最初の山を逃さない」ですが、多くの人は1回しか購入しないので立ち上がりのタイミングでお客様を捉えることが必要で、どのタイミングにトライアルが上がるのかを把握することが最も大切です。ID-POS分析では「トライアル・リピート分析」を用いて季節商材の立ち上がりタイミング(立ち上がる週)を把握する事が出来ます。詳細は後述致します。
 ポイントの2つ目、「②買いに来て頂いた時に関連品も含め、まとめて買って頂く」についても、購入頻度が低いので買いに来て頂いたタイミングでどれだけ関連品まで含めて買って頂けるかが売上アップのカギになります。悩みを総合的に解決するプロモーション売り場作り、更に集合クーポンやバンドル企画により、必要なものを買い忘れなく購入頂く取り組みが必要です(例:花粉症の集合クーポンであれば、鼻炎内服薬、点鼻薬、目薬といった中心商材に加え、洗眼薬、保湿ティッシュ、マスク、花粉防御剤、うがい薬、メントール飴、更に家に持ち込まないための衣料処理剤や掃除関連品などのまとめ購入を促進する)。
 3つ目、「③前年(前々年)に購入頂いた方にお伝え」ですが、季節商材を前年買って頂いた方は今年も買って頂けるわけではありません。例えば、鼻炎薬においては前年購入者のうち、翌年も購入している方は3~4割弱と半分以下に留まっています。花粉の飛散状況により、非常に多い年は医者に行く、また飛散量が低い年は我慢してしまう、等の要因が考えられます。ハンドクリームも同様の傾向です。そのため、再購入をして頂くためにシーズンの早いタイミングでリマインドを行うことが非常に重要です。ID-POSデータにより、過去に購入した人を容易に特定する事が出来できますので、MAツールやレシートクーポンなどダイレクトアプローチを行う事で需要喚起を図りたいところです(例「そろそろ花粉の季節がやってきました。今年はとても多く飛散するので早めの準備を」「新商品のお知らせ」など)。
 この時、前年購入者だけではなく前々年購入者へのアプローチも必要です。花粉の飛散が少ない年は購入せずに我慢した方も対象にするためです(※花粉の飛散が少ない予想であっても、予防商材の売り込みは充分可能です)。
 最後に4つ目、「④付加価値の高いものをお勧め」ですが、購入頻度が少ないため、シーズン当初に大容量の低価格品を購入されると、シーズン中、もってしまう(もたせてしまう)ことが考えられます。できれば付加価値のある高機能品をお勧めしたい所です。勿論、高機能品をお勧めする理由、こうすれば効果的という使い方情報を明確に示すことが大切です。
 次に、季節商材の分析の基本となる「トライアル・リピート分析」について具体例を挙げてデータの見方を詳しく見ていきたいと思います。
 図3を確認下さい。

図3:総合感冒薬カテゴリーのトライアル・リピート分析

 図3は、ある年の総合感冒薬(風邪薬)カテゴリーのトライアル・リピート分析です。トライアル・リピート分析は週単位で「トライアル者(シーズン1回目購入者)」と「リピート購入者(シーズン2回目以降購入者)」を分けて集計する機能です。オレンジ色の折れ線グラフがトライアル人数、グレーの折れ線グラフがリピート購入人数を表しています。青色の棒グラフはトライアルとリピートの合計人数(購入者トータル)を表しています。
トライアル・リピート分析のデータを読み解くポイントは
 ・トライアルが立ち上がるタイミングの把握
 ・トライアルのピークの把握
 ・購入人数のピークの把握
 ・トライアルとリピートが逆転するタイミングの把握
になります。このデータを生かすポイントは「気象情報との重ね合わせ」です。最低気温・最高気温・湿度・日照時間・雨量・不快指数・UVインデックスなどの気象指標と重ね合わせをすることで変局点(購入者が増えるタイミング)を探ります。
 具体的にグラフを読み解いてみましょう。
総合感冒薬は最低気温が20度を下回る9月下旬頃からトライアルが上がり始めています。その後、徐々にトライアルが上がり、最低気温が10度を下回る10月下旬にトライアルのピークを迎えています。風邪罹患者のピークは12月~2月頃ですが、風邪薬をシーズン初めて買うトライアルのピークはもっと早いということになります。その後、トライアルは徐々に減りますが、年末にトライアルが再び上がっています。リピートもこのタイミングで跳ねており、売上のピークとなっています。これは年末年始で病院やクリニックなどが休診となる為と推測されます。年末年始の需要増に対する対策をしっかりと行う必要があると思われます。その後、年明けにトライアルとリピートが逆転し、2月中旬頃までリピートの高い状況が続きます。
 以上が、基本的なトライアル・リピート分析のデータの読み込み法ですが、気象指標と重ね合わせをし、動きを確認したらそれに合わせた売場作り・販促に落とし込んでいきます。ただ、具体的な取り組みに落とし込む上で、カテゴリー全体の状況を確認するだけで十分と言えるでしょうか?
 次回はトライアル・リピート分析の分析視点の深堀を行っていきたいと思います。