コラム
IDPOSデータ活用入門第26回
「併買分析を用いた顧客のプロファイリング②」
併買リフト値分析はカテゴリー/ブランド/アイテムの購入者或いは非購入者をプロファイリングするのに有効な分析ですが、効果的な分析のためには適切な仕様設計が大切です。例えば重点ブランドAの併買を調査する際に、期間を長く取り、対象者も絞らずに集計し、漠然と何か有効な結果が出てくるのでは? という期待だけで進めると結果データはぼやっとしたものになり、読み込みができず、工数の割に得るものが少ない結果に終わりがちです。Aを買っている人はBをよく買っている、ことが分ったら何に生かせるのか?プロファイリングによってお客様を理解することは勿論ですが、品揃えや売場作り、販促の何を変えるのか?分析の出口を明確にすることが出発点となります。
そのため併買リフト値集計の前に「事前分析」に基づく「仮説作り=分析目的の明確化」を行います。事前分析は「因数分解」「性年代別買上率」「季節指数」が代表的メニューです。ここでは詳しく説明しませんが、まず因数分解によって、対象カテゴリー/ブランドの課題(買上率の低下が課題なのか、頻度ダウンが課題なのか、など)を把握しておきます。
買上率低下が課題の時、性年代別買上率により、どの性年代がダウンしているのかを掘り下げます。例えばシニア層でダウンしておりこれを回復したい、としたら、シニア層に絞った併買分析により、シニア層の購入目的やニーズを洗い出し、シニア層に向けたシャープな対策を打つべきです。
また買上率が横ばいでも、特定性年代に支持が集中しているようなカテゴリー/ブランドは併買分析の対象性年代を絞ることを検討します。例えば男女とも60-70代の買上率が高い「大人用紙おむつ」の併買リフト値上位に「焼酎甲類」が出現した時、いずれも購入者の年代が高いことからくる、年代つながりではないか?とも考えられます。そこで大人用おむつを購入している、 60-70代の方の併買を
また買上率はダウンしているが、継続者は堅調で新規獲得が課題の時は、対象カテゴリー/ブランドを「初めて」購入した方に絞って分析します。そして新規購入者の併買率、リフト値ともに高いカテゴリーがあれば、その売場でクロスMDを仕掛ける、誘導POPを付けることにより気付きを与え新規購買につなげる、ことが考えられます。
続いて季節指数によりいつ売れるものなのかを把握します。例えば高機能の「医薬品ハンドクリーム」は12-1月がピークになりますが、この期間の併買を調べると最も売れる時期に買う方のプロファイリングを導くことができ、よく売れる時期に買い忘れを防ぐために定番以外で気付きを与えるべき売場はどこか、を知ることができます。以前のコラムで季節商材の購入頻度は一般的に低いと指摘しました。そのため、シーズン初めてのトライアル購入を確実に捉える目的で、10-11月購入者の併買も重要です。これによって、まだ寒さも本格的ではない早期購入者はどの売場に現れるのか?その方の特徴、悩みは何かを知り、気付きを与える場所と適切なメッセージを策定できます。また、シーズン最終盤になっても購入する方は何を購入しているのか(=どの売場に現れるのか)により、売り切りをはかり返品抑制につなげることが可能になります。そして裏シーズン(夏場)にも購入する方はどんな方かにより、通年利用(販売)頂くためのヒントを得ることになります。このように季節指数を踏まえて併買分析を行うことで購入タイミングに応じた買い易い売場が実現できます。
更に頻度ダウンが課題の時には対象カテゴリー/ブランドを2回以上購入している方と1回しか購入していない方の併買を比較することで、リピート購入される方はどんな方かをプロファイリングし、「今はブランドAを買っていないが、買ってくれそうな方」に加えて「
他にも同じカテゴリーに所属しているブランドAとブランドBの併買の違いからブランド選択に至るお客様の悩みや志向、ニーズを明らかにし、ブランドごとに最適なPOPメッセージを開発することも可能になります。
以上をまとめると併買分析を行う際は
・期間設定
・対象者の設定(性年代、購入頻度、新規か継続かなど)
からなる仕様設計を適切に行うことが大切です。
最後に併買分析では対象カテゴリー/ブランドを買って
次回はうがい薬を例にとり仕様設計から併買データ読み込みの一連のプロセスを説明します。