コラム

IDPOSデータ活用入門第27回

コラム

「併買分析を用いた顧客のプロファイリング③」

 今回から、「うがい薬カテゴリー」を例にとり、仕様設計から併買データ読み込みの一連のプロセスを説明していきます。

図1:うがい薬購入者の併買リフト値

 まずはカテゴリーの実態把握を行います。図1にありますように、うがい薬の季節指数は、10月から一気に上がり2月まで指数は1を越え、その後春から夏にかけて1を下回っています。グラフで風邪薬と重ね合わせをしているのは風邪の流行時期と連動していると推定されるためですが、夏場の指数の落ち込みは風邪薬よりもやや緩やかです。
 前回のコラムで併買リフト値の仕様設計の留意点を取り上げましたが、季節指数の情報から分析目的に合わせ以下の3つの期間設定が有効と考えられます。
 ・10-11月の併買の分析目的:早いタイミングで買う方はどんな方か(風邪の予防目的で買って頂くには?)を知る
 ・12-1月の併買の分析目的:うがい薬のピーク時期に売上を最大化するにはどの売場で気付きを与えるべきか?を知る
 ・7-8月の併買の分析目的:オフピークにうがい薬を買う方はどんな方か、裏シーズンに買って頂き通年化に至る道筋を知る
 季節指数に続きカテゴリー因数分解と性年代別の買上率を分析します。図1の因数分解は10-2月の季節指数の高い5ヶ月間で集計していますが、ここで読み取れる課題は買上率のダウンです。買上率が下がった場合、新規が取れなかったのか、継続が不振だったのかを掘り下げるべきですが、因数分解の数量/人 がアップしていることから継続者よりも新規買上率がダウンしていたのではないか、と推定されます。
 また性年代別買上率のグラフから、買上率は特定の性年代に偏っている訳ではないことが分ります。よって、併買データを集計する際に性年代の絞り込みは行わないことにします。
 以上の結果から今回の事例では
10-11月にうがい薬を買った方(全性年代)の期間併買をJICFSの品名別に集計することにします。

図2:併買リフト値の集計(10-11月)

 最初に得られる集計表が図2になります。図2の表はリフト値の降順でソートしていますが、まず数値の意味から説明します。16行目の「殺菌消毒(部外品)」は全体の買上率が0.6%(この2ヶ月間に来店された方の0.6%、即ちユニーク人数で1,000人が来店されたら、その内の6人が「殺菌消毒(部外品)」を購入する)ですが、うがい薬を買った方に絞ると「殺菌消毒(部外品)」の併買率は2.3%になります。つまり、うがい薬を買う方は、全顧客に比べ、2.3%÷0.6%=3.6 倍だけよく「殺菌消毒(部外品)」を買うことを意味し、3.6という数値は「殺菌消毒(部外品)」カテゴリーを買う確率が何倍に高まるか、を示すリフト値になります。
 図2はリフト値順にソートしている訳ですが、2-5行目までは全体の買上率が0.0%という非常に低い値であることに注意して下さい。これらのカテゴリーは期間中、来店者1,000人の内、1人以下しか購入されないことを意味しており、たとえリフト値、倍率は6~8倍と高くても、注意して扱うべきとなります。例えば特定の顧客による異常値の可能性や、そうでなかったとしても、買上率が著しく低いカテゴリーではクロスMD等のアクションを行っても、そもそも立寄る人が少ないので成果が出にくいと考えられるからです。こうしたカテゴリーはタブの内容を確認した上で基準を定め削除していきます。絞り込みの1つの目安は併買率を1%以上にする・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・という基準です。うがい薬を買う人の100人に1人以上が併買するカテゴリーのみに絞り込んで読み込む、というものです。併買率1%以上の品名のみを残したのが図3になります。

図3:併買率1%以上に絞り込んでタブを読み込み

 図3にあるタブはカテゴリー購入者に考えられる仮説の候補を言葉にしたものです。先ほど例に挙げた殺菌消毒(部外品)カテゴリーには「高い清潔意識」「ベビー子育て」「ウィルス予防」というタブが付いています。これは殺菌消毒(部外品)カテゴリーを買う人の悩みやニーズ、セグメントを表現したキーワードになります。リフト値上位カテゴリーのタブに繰り返し現れている言葉を集約して読み込んでいきます。ここでは「喉」「風邪」「高い清潔意識」「ウィルス予防」「口腔トラブル/口臭ケア」「疲労」等の言葉になります。
 その際、併買率が1%以上でリフト値が相対的に高くても、背景にあるニーズや関連を読み取りにくいカテゴリーも散見されますので(例えば、痔疾用薬など)、それらは図3のようにグレーアウトします。うがい薬を購入する方が喉をケアし、風邪やウィルス予防に努めていることは概ね想像できると思いますが、口内炎などの口腔トラブル/口臭ケアを示唆するカテゴリーも上位に登場しています。同じグループに同じ色を着色し(口腔トラブル/口臭ケアは水色のように)、10-11月の比較的早いタイミングでうがい薬を買う方はどんな方なのか、プロファイリングとして整理していくのです。その結果は次回のコラムで発表します。