コラム
IDPOSデータ活用入門第39回
「コロナ禍による化粧品購買行動の変化②」
前回は5月14日に首都圏、近畿圏、北海道を除く全国で緊急事態宣言が解除となったのを受け、解除されたエリアの解除後10日間を解除前と比較して、化粧品購買行動にどのような変化があったのかを取り上げました。今回はその続きとして、メイクアップ化粧品及び季節品について取り上げます。
メイクアップ化粧品は緊急事態宣言の解除後、回復しつつありますが、特にリップ、チークの色物、ファンデーション、化粧下地のベースメイクは、マスク着用と外出自粛で売上は昨対70%以下と大変厳しい状況です。ここから失った需要を取り戻していくことになりますが、新しい生活様式の実践例でも「外出時、屋内にいるときや会話をするときは症状がなくてもマスクを着用」と示されておりマスクをすることが行動の前提になります。
そこでマスク着用時のメイクアップ化粧品のポイントは「マスクでも崩れない、落ちないメイク」「マスクで擦れる、蒸れるお肌に負担の少ないメイク」「テレワークでも簡単にきれいに見えるメイク」等の情報を店頭、デジタルで配信することです。
解除後の売れ筋商品をみると、化粧下地、ファンデーションは「メイクキープ」「崩れ防止」「ひんやり感」「UV」がキーワードとなっています。お店の美容スタッフがメイクアップ後にマスクをつけ、時間が経った後にマスクを取っても、マスクにファンデーションや口紅がついていない、という動画が、あるドラッグストアから配信されてきました。その秘訣は?として、ファンデーションと仕上げミストが紹介されていました。この動画配信前後で仕上げミストの買上率が大きく跳ね上がっています。売り場に行って自分で試すのが難しいタイミングですので、悩み解決につながる使い方情報は特に有効です。このミストについてはベースメイク、アイメイク、リップ売り場に多個所展開し、プラス1品を訴求できると考えられます。
UVケアについては2/3から6/14までの動向を図1に載せました。
売上は昨対で74.2%、その主因は買上率が72.6%と大きくダウンしていることです。中心支持層は20-40代の女性ですが、40代の買上率が昨対で72.3%となるなど女性20代を除くとかなり厳しい数値です。季節商材については過去のコラムでも触れましたが、頻度が低い現実から(4か月半でも頻度は1.2回)、シーズン1回目の購入(トライアル)を確実にとる必要があります。そのトライアルが19年シーズンに比べると、大きく出遅れ、特に緊急事態宣言からGWにかけての落ち込みが目立っています。図1にあるように例年は6月に入り、梅雨を迎えると一旦トライアルが落ち込みますが、今年は外出自粛で失ったトライアルを6月以降で取り戻す必要があります。季節商材が出遅れた場合の注意点は、
6/18放送のNHK番組、あさイチで、今年の紫外線対策を取り上げたそうです。今年はステイホーム期間があり、お肌(角質)が紫外線にさらされておらず、
ID-POSの良い点は前年、前々年に購入頂いた方のIDが分かっていることですので、過去2年間に購入しながらまだUVケアを購入頂いていないお客様にレシートクーポン等で上記のポイントをお知らせし、購入に導く施策を打っていきます。
また、ネイル及びネイル化粧小物(ストーンやシール類)は、ネイルサロンに行けない若年女性で売上を伸ばしています。自宅でネイルアートを楽しむ生活を提案し、関連商品をまとめて配信、店頭陳列します。サロンに行かなくなった方には自宅で行う際の秘訣やプロからのアドバイス等の情報が喜ばれると思います。同様に、ヘアカラーは美容室に行けないため、自宅で染める人が増え、解除前から好調でした。現在も高価格帯が伸びているため、自宅でのカラーリングの注意点(色の選び方、後ろ髪の染め方など)の情報提供を行っていきます。丁度、あるドラッグストアのYoutubeチャンネルから「白髪染めのつやと色持ちアップのポイント」という動画の案内が来ました。タイムリーな企画です。
この2回は、コロナ禍における化粧品の購買行動の変化について取り上げました。次回は顧客視点での商品の改廃、ABC分析におけるリピート率に活用について取り上げます。